この記事はFIREロードマップのSTEP01:FIREを知るに該当します。
FIREロードマップ全体は以下の記事をご覧ください。
・サイドFIREって生活費の半分を働いて稼げばいいんでしょ
・サイドFIREって働いている時点でFIREじゃないよね
FIREのなかでもよくオススメされているのがサイドFIREです。
働くことで必要な資産額が減らせるという説明をよくされますが、いったいどの程度稼げばいいのか明確になっていることが少なくありません。
生活費の半分を稼ぐ、という説明も見受けられますが、それでは働くなった時点で生活できないのでもはやFI(経済的独立)ではありません。
この記事で分かること
・サイドFIREのメリット
この記事を読めば、あなたがサイドFIREをするとしたらいくらの資産額、いくら働いて稼げばいいかが分かります。
結論から言えば、生活費を最低限生活するのに必要な基礎生活費と、それ以外のゆとり費に分けたときに、基礎生活費は資産所得で、ゆとり費は働いて稼げばいいことになります。
なぜなら、FIREはあくまで働いても働かなくても良い状態なので、基礎生活費を資産所得で得られればFI(経済的独立)が達成できます。
それでは見ていきましょう。
サイドFIRE(Side FIRE)とは
サイドFIREとは、生活費の一部を働いて稼ぐFIREの一種です。
サイドとはサイドハッスルのことで、好きなことを仕事にすることです。
働いているのでFI(経済的独立)していないのでは?と思われるかもしれませんね。
確かにサイドFIREの説明をしているサイトの多くは、生活費の半分を働いて稼ぐとしています。
そうすることで、FIREに必要な資産額や達成までの期間を半分にしてしまおうという理屈です。
ただし、これでは働くことをやめたとたんに生活できなくなります。
そのため、「生活費の半分を働いて稼ぐ」というのはサイドFIREの説明としては誤っています。
やはり、働かなければ生活できないのは、FI(経済的独立)ではないですから。
そうではありません。
サイドFIREとは、生活費を「基礎生活費」と「ゆとり費」に分けたときに、基礎生活費は資産所得でまかない、ゆとり費は働いて稼ぐスタイルなのです。
ここでいう「基礎生活費」とは最低限生活するために必要な費用であり、衣服費、食費、住居費があげられます。
一方、「ゆとり費」は必須ではないけれど、日々の生活を豊かにしてくれるための費用であり、旅費、交際費があげられます。
生活に最低限必要な「基礎生活費」を資産所得で賄うことで、最悪働かなくても生きていける状態となりFI(経済的独立)ができていると言えます。
このように考えていくのがサイドFIREとなります。
サイドFIREに必要な資産
それでは、FIREとサイドFIREを比較して実際に必要な資産額を考えてみましょう。
たとえば、年間の生活費が400万円だとします。
FIREは、4%ルールという年間生活費の25倍の資産を築けば達成できるというのが、一般的な考え方です。
そのため、400万円×25倍の1億円あればFIRE達成となります。
しかし、1億円もの資産を築くのは誰もができるものではありません。
そこで、生活費を基礎生活費とゆとり費に分けてサイドFIREを目指すとします。
仮に年間の生活費400万円のうち、基礎生活費が280万円、ゆとり費が120万円だとします。
この場合、サイドFIREに必要な資産額は、280万円×25倍の7,000万円となり、残りのゆとり費120万円(月額10万円)を働いて稼ぐことになります。
FIREに比べて必要な資産額が1億円-7,000万円で3,000万円も減りました。
このように基礎生活費の25倍の資産を築き、ゆとり費を働いて稼ぐというのがサイドFIREの基本的な考え方になります。
サイドFIREに必要な年数
先ほどのサイドFIREに必要な資産額で考えたケースと同じ条件で考えてみます。
資産運用の条件を、毎月10万円を利回り5%の株式インデックス投資で積み立てるとします。
この場合、FIREの1億円築くまでに、32年11ヶ月かかります。
一方、サイドFIREの7,000万円築くまでには、27年5ヶ月となり、5年半短縮できます。
毎月の入金額を変えると、以下のように達成までの年数を短縮ができます。
毎月の 入金額 |
FIREまでの年数 | サイドFIREまでの年数 | 短縮年数 |
10万円 | 32年11ヶ月 | 27年5ヶ月 | 5年6ヶ月 |
15万円 | 26年8ヶ月 | 21年8ヶ月 | 5年 |
20万円 | 22年7ヶ月 | 18年1ヶ月 | 3年6ヶ月 |
※条件:年間基礎生活費:280万円、年間ゆとり費:120万円、投資利回り5%
このように、サイドFIREを目指すことで達成までの期間を短縮することができます。
サイドFIREのメリット
サイドFIREのメリットは、ここまで説明した必要資産額が少なることと、達成期間が短縮すること以外に、以下があります。
サイドFIREのメリット
・働くことでやりがい、達成感が得られる
・社会復帰しやすい
資産の目減り時に、資産の取り崩し額を少なくできる
FIREは資産運用で得た利益で生活することが基本です。
1億円の株式を保有して4%の利回りで運用できたら、1年後には1億400万円に増えます。
この増えた400万円で生活すれば、残った1億円がまた1年後に1億400万円になる。
これを繰り返すことがFIREの基本的な考え方です。
でも、資産運用において、毎年4%の利回りが約束されているわけではありません。
FIRE界隈で大人気の全世界株式インデックス投資や米国株式インデックス投資も毎年必ず4%の利回りになるわけではないのです。
むしろ、大きくマイナスになったり、プラスになったりを繰り返すのが普通です。
以下は米国の代表的な経済指数S&P500の5年間チャートですが、2020年のコロナショックで大きく下げていたり、本記事執筆現在も下げ相場なのが分かります。
30年といった長い期間で見ると平均して4%程度になる、といった話なので注意が必要です。
そして資産がマイナスになっている時に、生活費として取り崩してしまうと一気に資産が減ることになります。
1億円の資産額が9,000万円になってしまった時に、基礎生活費280万円を取り崩すと8,720万円になってしまいます。
そこから1億円に戻すには、15%ほど値上がりを期待しないといけませんが、なかなか難しいです。
ゆとり費のために働いて稼いでいたお金を、資産額の目減り期に基礎生活費にあてることで、資産の減少を少なくすることができます。
基礎生活費が280万円なら、働いて稼いだ120万円をあてると、160万円の取り崩しで済みます。
また、株式の回復期に働いて稼いだ分を資産の購入にあてることで、資産回復スピードを早めることができます。
このように、先が見えない株式資産で生活をするうえで、サイドFIREは大きな安定をもたらしてくれます。
働くことでやりがい、達成感が得られる
完全にFIREをすると、社会とのつながりが極端に無くなってしまいます。
FIREした直後は自由を得た素晴らしさに満ち溢れた心持ちですが、慣れてくると今度は暇すぎるといった悩みが出てきます。
これは、有名なマズローの欲求5段階説のうち、社会的欲求、承認欲求が満たされにくいからです。
サイドFIREは、働いて稼ぐので社会に何かしらの価値を提供していることになります。
サイドFIREのサイドはサイドハッスル=好きなことを仕事にする、ですから社会的欲求・承認欲求も満たされやすく、やりがい・達成感に満ち溢れた生活を送ることができます。
社会復帰しやすい
FIRE生活が予定どおり送れるのであれば問題ないですが、人生とは思わぬ事態が生じます。
思わぬ出費が増えてしまった場合、FIRE生活が維持できなくなる可能性もあります。
そうなった時に、頼りになるのが人的資本ですが、完全にFIREをしていると社会復帰が難しくなります。
サイドFIREでは何かしらビジネスをしているため、社会復帰に必要なスキルが磨かれていることになります。
将来を完璧に予測することは誰にもできないため、サイドFIREは大きなリスクヘッジとなります。
まとめ:サイドFIREを理解して計画しよう!
サイドFIREのポイントとしては、生活費を基礎生活費とゆとり費に分けて、基礎生活費を賄う資産を形成し、ゆとり費を働いて稼ぐことです。
サイドFIREのポイント
・ゆとり費(生活をより豊かにするお金)は働いて稼ぐ
ここをしっかり整理しておかないと、怪我や病気などで働けなくなってしまった時に生活ができなくなってしまいます。
結局、FIREは数種類あれど、全て基礎生活費は資産所得でまかなう必要があります。
ゆとり費をどうするかの違いがFIREの種類を分けます。
サイドFIREは、自分のビジネスで稼ぎを得る(事業所得)ことでゆとり費をまかないます。
基礎生活費を資産所得でまかなうためには、リーンFIRE(Lean FIRE)と同じプロセス(支出を削減し、資産運用をする)が必要なため、以下の記事も参考にしてください。